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001.メンズ下着考

 夏輝が修平の姿を見るなり大声を出した。「なっ! 何っ? そのパンツ!」

 修平は申し訳なさそうに言った。「やっぱ、だせえよなー、これ」

「やめてっ! あたしそんなのだめ。引く。生理的に無理!」

「そんなに嫌いか? 夏輝」

「修平が最初にハダカになった時、それ穿いてたら、あたし絶対別れてた」

「なんじゃそりゃ」

「小学生でしょ、それ。もうエッチする気分じゃなくなちゃったよ」

「わ、わかった。わかったよ。脱ぐから、夏輝、夏輝っ!」

 

 今やメンズの下着もいろいろなスタイルやバリエーションが当たり前の時代になりましたが、この「白ブリーフ」については、なかなか複雑な状況です。夏輝が言うようにどうしても母親に買ってもらった小学生のイメージがある。ネットで時々行われるアンケートでも、恋人に穿いてもらいたくない、最も苦手な下着のダントツ一位だそうです。

 僕も、もはや白ブリーフを穿こうなんて、絶対に思いませんが、綿素材なので、肌触りは快適、穿き心地はゆったり、それでもトランクスに比べるとホールド感もあるので、機能としてはそこそこなのでしょうけど、なんかね。デザイン性、というか、ファッション性というか・・・。

 女性に限って言えば、下着に関して「無理」と思うのは、

 

◇よれよれだったりゴムが伸びてたり、生地が傷んでたり

◇シミがついていたりする

 

 女性でなくとも当然だと思いますね。これは下着に限らず、着るモノ全てに当てはまると思うのですが、やっぱり「だらしない」とか「不潔」というのは100%アウトでしょう。アウターがどんなにかっこよくて、キマっていても、脱いだ時にこれでは、百年の恋もいっぺんに冷めてしまうってもんです。

 それじゃあ、別のスタイルはどうなんでしょう。アンケートをいろいろと見てみると、好感が持たれる第一位は「ボクサーパンツ」なのだそうです。

 トランクスは、ジーンズの下に穿いていると、しわしわになってしまう。それはスタイリッシュじゃない。でも、男性自身のカタチが露骨にわからないので、普通っぽくて好き、という女性もいるみたいです。ただ、男の立場から言うと、あれは「下着」ではありません。ある程度の締め付けがないと、男は落ち着かないものです。だから、ちょっと乱暴な発言ですけど、僕はトランクスは、下着としては論外。生まれて今まで穿いたこともありません。

 

 ボクサーパンツ(メーカーによっては『ボクサーショーツ』『フィットボクサー』『ボクサーブリーフ』と呼んだりしているようです)が無難なのは、タイトなものでも多少ルーズなものでもそれなりに格好がつく、ということでしょうかね。トランクスほどゆるゆるでない、でもビキニほど生々しくない。

 そう、ビキニが男性本人に比べて女性に不人気なのはこの『生々しさ』。カタチがどうしてもわかってしまう。特に興奮して大きくなった時、薄手のビキニなんか穿いていたりすると、何も穿いていない時より、なんかよけいにいやらしく見える、と言うのです。いかにもエッチしたがっているという感じで好きじゃない、と。でも、でもね、エッチする前以外に、オトコが女性の前で下着姿になることって、そうそうあるかなあ・・・。それはある意味オトコの性(さが)ってもんで、ビキニだろうがボクサーだろうが、そのあと脱ぐわけだし、その時に「生々しい」なんて言われてもねえ・・・。

 ビキニほどではないにしろ、Tバックに抵抗を示す女性は多いらしいです。確かに穿いているのは少数派ですけど、あるアンケートサイトでは、回答していた男性のかなりの割合がメインではないにしろ「Tバックの下着を持っている」と答えています。Tバックの下着は、お尻が思いっきり露わになる。それがこのスタイルのウリなんですけど、カタチの良いお尻はオトコでもオンナでも素敵ですよね。人は多かれ少なかれナルシストですから、スタイリッシュなTバックが似合うようなオトコでありたい、と思ったりするのです(少なくとも僕はそう)。女性の場合はとうにTバックショーツは市民権を得ていて、そのセクシーなシルエットは独特です。オトコだってセクシーでいいじゃないか。女性がレース付きだのストリングだのハイレグだのでセクシーさを魅せたいのと同じように、オトコだって自分をセクシーだと思わせたいし、思いたいわけです。それがダイレクトにセックスに繋がらないとしても、です。

Tバックのスタイルあれこれ

 

 ただ、世の男性諸氏は20代で約四分の三が「自分で下着を買う」と答えているのをピークに、年代が上がるにつれて、家族(おそらく妻でしょうけど)が買ってくる物を穿く、と答える割合が増えます。男性下着売り場をおばさんがうろうろして品定めしているのは、僕にはかなり抵抗があります。逆に女性下着売り場を僕みたいなおじさんがうろうろしてたら、かなり問題だと思うでしょ?だけど、それは今のオトコどもが手抜きしているせいです。自分の着るモノ、特に「男性」を意識する下着について、他人に買わせるという心境が僕には理解不能です。

 

 僕はメンズ用でも下着のことを「ショーツ」と呼びます。とある掲示板で僕が使ったその言葉に「ショーツってのは女性用を言うもんだろ!」と反論を頂いたことがありますが、基本的に短い、直接身に着けるものに男女の区別は必要と思わないから、僕はそう呼ぶのです。特に僕はビキニやTバックなどの小さい系の下着しか穿きませんから、余計にその線引きは曖昧です。今や女性用と男性用のシルエットの違いはほとんどなくなりました。下着ぐらい「ユニセックス」スタイルが幅をきかせているものはありません。できれば男女の間の、妙に理不尽なステレオタイプ的考え方はなくなればいいなと思います。

 

 セックスの時、僕はその直前の短時間であろうとも「オトコの下着姿」ってかっこよくあるべきだと思うのです。だらしないのや不潔なのは論外だとしても、そのオトコのこだわりがなくちゃ、と思うのです。普段見えないからと言って油断することは、オトコとしての矜恃を捨てるようなもの。「どうせ脱ぐから関係ないだろ」ではなくて、最後の一枚に対してのその歳相応の、体型相応のこだわりのファッション意識は、たとえ女性が何と言おうと、ある程度自分の中で拘泥し、守っていきたいものです。

2013,1,14 Simpson