挿絵などのイラストを描く時、使う筆記具や画の加工の仕方は少しずつ変わります。2019年秋時点でのイラストの完成までの流れをご紹介します。
自分のことを「アナロギスト」(造語です)と自称するSimpsonです。紙にペンで描くことをスタートにしているからです。
シャープペンシルで下書きをした後、
①セピア色のインクのペンで輪郭を描き、下書きを消します。
なぜセピア色のインクを使うのかというと……
僕の描く画は、圧倒的にハダカのものが多いので、黒の線で輪郭を描くと、肌の柔らかさが表現しづらいからです。
左の画は黒インクとセピア色のインクで描いた画を比較したもの。向かって左が黒、右がsepiaです。
拡大した手の部分を見て頂ければお解りの通り、黒インクだとかなり「強い」イメージがありますね。特に女性の肌を描く時には、この強い輪郭では特有の柔らかさや温かみが表現できないと思っているのです。
輪郭を描いた後は「塗り」です。
②黒髪やベルトなどの濃い黒はシャープペンシルの黒芯を強めに、
③濃い生地などは同じく黒芯のシャープペンシルもしくは鉛筆で、
④茶髪、薄い塗りは赤芯のシャープペンシルを使って塗ります。
基本的に左上からの照明を想定して描くので、
⑤右と下の輪郭は、やはり黒芯のシャープペンシルで太めになぞります。
こうすることで、陰を表現しているわけです。
さらに、
⑥ネクタイや袖口の影も赤芯のシャープペンシルで描き込みます。
――ここまで描き込んだら日付とサインを書き込んでアナログ段階は終了。
ここからはパソコンのレタッチソフトで加工です。
⑦描いた画をスキャナで取り込み、グレースケール(モノクロ)化します。
こうすることで、赤芯で塗った部分は程良い薄さになってくれます。
そして最後に、背景を白にして画をくっきりさせるために、
⑧アンシャープマスクをかけ、コントラストを上げて完成です。
2019,9,29 Simpson